【想】ある晩の「時間への郷愁」

ある晩の「時間への郷愁」。

 

 

 大人になって、私たちは子どもの時代をとても懐かしく思い出す。

それはあの頃夢中になったさまざまな遊び、今は、もう消えてしまった

原っぱ、幼なじみ・・・・・・なのだろうか。

きっとそれもあるかもしれない。が、おそらく一番懐かしいものは、

あの頃無意識にもっていた時間の感覚ではないだろうか。

過去も未来もないただその一瞬一瞬を生きていた、

もう取り戻すことのできない時間への郷愁である。

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過去とか未来とかは、私たちが勝手に作り上げた幻想で、

本当はそんな時間など存在しないのかもしれない。

そして人間という生きものは、その幻想から悲しいくらい離れることができない。それはきっと、ある種の素晴らしさと、それと同じくらいのつまらなさをも内包しているのだろう。まだ幼い子どもを見ている時、そしてあらゆる生きものたちを見ている時、どうしようもなく魅きつけられるのは、今この瞬間を生きているというその不思議さだ。

 

星野道夫「はじめての冬」より

 

1人が何よりも好きなくせに、たまに人恋しくなることがある、そんな、晩。

そんな時は、こんな文章を読んで、自分の気持ちと会話するのです。